ブリットポップに恋して

英国を英国の文化全てを愛するブログです。

ブライトンのホームレス

今週のお題「怖い話」

 

それは20年以上前に私がイギリスに行ってた頃のお話です。

イギリスの南東部にブライトンという都市があります。日本で例えたら熱海みたいな雰囲気の観光地です。最近はやたらめったら人気のエリアで(そりゃそうだな、ロンドンから1時間くらいだし)地価上昇率300%とかなんとか…何かで読んだ記憶があります。

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ブライトンは観光地でそしてLGBTQに非常に寛容な街としても有名です。いつだったか忘れたけど、毎年ゲイプライドも行われてます。

で、そのブライトンのクラブに初めて連れてってもらう日のこと。お隣に留学で来てたお友だちからとある忠告を受けました。

「あのね、グレアムちゃんは真面目だからナンパされてもちゃんと断って帰ってくると思うけど、くれぐれ気をつけてね。特に今夜君ん家に行きたいなって言ってくる奴は100%ダメだよ」

って。は?なんで?と聞くと…

「そんな奴、家に入れたら出なくなる。そういう事言うのは100%ホームレスだから」

って言われました。

って言っても私は下宿の身だったし、そんな事言われてもまぁ大丈夫って思ってました。

それに何より、あちらに行って確信したのは

「わたしはヨーロッパでモテないタイプ」

ってこと(笑)

しかも、当時私はお酒飲めなくてタバコも吸ったことなくて。ナンパどころか、クラブに行ってお酒も飲まないタバコも吸わないたいして踊らないってんで

「何しに来てるんだ❗️」

と説教されたことはあります。

まぁあちらにしてみたら、お前酒も飲まずによくここで楽しめるなってことだったのかしら。

いやいや、私はただただ音楽とクラブの雰囲気を愛しているだけで。

だから、私がイギリス滞在中に見知らぬ男が私の部屋に入ることはただの一度もなく、即ち住み込まれるような怖い思いもしませんでした。

でもすっごくタイプだったら…どうだったんだろうなぁ…

 

 

 

 

恐るべし京女

今週のお題「怖い話」

本来、わたしのブログは音楽について、なのですけどまぁちょっとたまには外れてもいいかなと思いました。

わたしは生まれも育ちも京都で、俗に言う京女です。しかし、厳密に言えば少し違うかも。何が違うかは井上章一さんのベストセラー「京都ぎらい」をよんでいただければおよその察しがつくと思います。

、と前置きはこのくらいにして。

 

どうせバレないと思うので書きますけど、わたしは医療従事者です。だいぶ前ですけど、当院にこれまた京女のおばさんが入院してきました。そのおばさんは立派な農家の奥さんです。

ある日、お礼ですとそこのご主人が大量の白菜を持ってきて下さいました。わたしは彼女の受け持ちで、しかもちょっと好かれていたのでその日は朝から

「グレアムはん、今日主人が白菜持ってくるからもろて帰ってね」

と言われてました。以前にも同じようなことがあって、うちの部署のスタッフが全員持って帰りました。今日は白菜やってーと詰所で話してました。そして、それを聞きつけた先輩が

「まぁ、お礼言うてくるわー」

と立派な農家の奥さんの病室に行きました。しかし、数分後すごい形相で戻ってきて

「わたし白菜なんか要らないからね💢」

と怒鳴る始末。グレアムさんは貰ってって言われたんでしょう⁉️と詰め寄られたので、うん…と返事しようとしたら

「わたしが部屋に入ったらあの人何て言うたと思う⁉️ごめんなさいねー、足りなくてって言うのよ、あの人💢💢」

 

あー…さすが京女や、と思いました。

苦手なスタッフにはそうやって敬遠したみたいで。

因みにそれ言われた先輩は岐阜県出身でちょっと賑やかな…わたしは好きなんだけど、その京女農家おばさまは好みではなかった模様💧

 

たかが白菜、されど白菜。

わたしは自分の分を半分に切って、その先輩に帰りに無理やり持って帰ってもらいました。

 

こんなん言うから京女は嫌われるんでしょうねぇ😣💧

 

Alright - Superglass

おそらく君は猿の惑星から来たんだろう、と言いたくなる風情のボーカルとポール・マッカートニー崩れだけど最高のドラム、そしてローゼズのマニそっくりのベースの3ピースバンド。

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15歳で警察に捕まってしまう"CAUGHT BY THE FUZZ"もなかなかの秀作だけど、彼らはやっぱり"Alright"だろう。

We are young, we run green,
Keep our teeth, nice and clean,
See our friends, see the sights, feel alright,
We wake up, we go out, smoke a fag,
Put it out, see our friends,
See the sights, feel alright,

Are we like you?
I can't be sure,
Of the scene, as she turns,
We are strange in our worlds,

But we are young, we get by,
Can't go mad, ain't got time,
Sleep around, if we like,
But we're alright,
Got some cash, bought some wheels,
Took it out, 'cross the fields,
Lost control, hit a wall,
But we're alright,

Are we like you,
I can't be sure,
Of the scene, as she turns,
We are strange in our worlds,

But we are young, we run green,
Keep our teeth, nice and clean,
See our friends, see the sights, feel alright,

Are we like you,
I can't be sure,
Of the scene, as she turns,
We are strange in our world,

But we are young, we run green,
Keep our teeth, nice and clean,
See our friends, see the sights, feel alright.

 

何とも清々しい内容。

しかし!やはり

 We are strange in our worlds.

ってくだりが気になってしかたない。

私は小学生時代、殆ど友だちが居なかった。

唯一の友だちは本だったから、学校に価値観が見出せずにしょっちゅう休んでたし、行ったらいったで息を潜めていないといけないし。

みんながやれチェッカーズだの安全地帯だのマッチだの中森明菜だの言ってる時に私はずーっとユーミンを聴いていたし、当時(今もだけど)ユーミンは滅多にテレビに出ないから、知ってる人なんか居ないだろうと一切口外しなかった。

私の末席人生はもうその頃から地ならしをしていたのである。中学から地元を離れたけど、地元を離れてもやっぱり変わらず末席が私の指定席だったし、末席の楽しみ方を恐らく誰よりも熟知している、という自負さえある。

だけど末席タイプが自分以外にもわりと居ることも認識しだしたり、共通の価値観が生まれたりして末席人生の楽しみ方も学んできた。

少しずつ人生に取り組み出して、自分というものが形づくられだした時にこの曲のこのくだりを聞いたときの感動は今も忘れられない。

しかし、彼らは多分末席には居なかった。どちらかと言うとむしろ目抜き通りを大手を振って歩いてるタイプだ。だけど、王道路線ぽく見えるの彼らにも苦悩や疎外感があるのかもしれない、と言うことを知った曲でもあった。

そしてその時、私の事を虐めて虐めて虐め抜いた、ある意味他の学校に行かざるを得なくなった原因を作ったある男の子を許せる気がした。

何となくだけど、彼が追い詰められていたのを私は知っていた。農家のうちと違って、立派なモダンな家で立派なご両親から、相応のしかし過剰な期待を一身に受けていた彼は塾ではかなり追い詰められていた。ストレスが溜まっているのは側から見てもわかった。うちは田舎だから中学受験組は3人しか居なかった。1人は後に某国立の医学部をストレートで受かって今もドクターをしているH君で、残りの2人が彼と私だった。私はまぁ避難先を確保するためのお受験だったから、超ウルトラ進学校を目指してたわけじゃなかったけど、彼は違った。学校ではH君のライバル扱いだったけど、本当の実力にはかなりの差があった。同じ塾に通う私だけがそれを知っていた。だから、私のことを徹底的に彼は罵ったし、自分の取り巻きに私を蹴ったりさせてた。当時は私は彼が本当に嫌いで、学校に行きたくない理由のNo.1だった。

結局H君は超ウルトラ難関校に、私は某女子校に進み…その彼は受験失敗で多くの子どもたちと同じように地元の中学に進んだ。

その後の彼ことを私は一切知らない。知らないけど彼もまた辛かったんだな、と少し許せるようになった時、私はイギリスに居た。この曲を聴きながら、君もがんばれ、と思えた。

自分に折り合いをつけるのは結局、自分だ。

 

 

 

This Is a Low

blurの大ヒットアルバム「PARK LIFE」の一番最後の曲のタイトルです。

地名がやたらと出てきて、津軽海峡冬景色みたいですけど(笑)いや、ピスキー湾から一気にテムズ川ほとりまで連れてってくれる下りは本当に上野発の夜行列車降りて青森駅に辿り着くあの感じで、しかも行ったことないブラックプールにもランズエンドにも行った気にさせてくれる旅情感は素晴らしくて。私は個人的にこの曲に対する思い入れが強くて。一つはイギリス南東部で育ったデーモンらしい歌詞とやはり若い頃に南東部で過ごした私のイメージが重なるから。この曲を聴いていると、ビスキー湾から西に進んでずっと続く美しいホワイトクリフを空から眺めてる気分になります。

初めて聞いたとき、何て美しい曲だろうと思いました。大ヒットしたGiris&BoysやPARK LIFEとは全くテイストの異なる静かな聞き入ってしまう曲です。

And the radio says

This is a low
But it won't hurt you
When you're alone
It will be there with you
Finding ways to stay solo

私はこれを低気圧はあなたの孤独の邪魔をしない、と言っているように解釈しました。

当時下宿の自室で本当によく手紙を書いていました。その時間は誰にも邪魔されなくて、送り先の友だち、家族、知人…に思いを馳せながら孤独だけど幸せな時間でした。私は自室で机に向かっている時、低気圧に守ってもらえているような気さえしました。

そして、この一曲でデーモンやグレアムの事を信用できると確信しました。だから彼らのアルバムがどんなにスタイルを変幻自在に変えようとも、ソロになったり他のユニットを組もうとも、彼らが作った曲だからと腹を据えて聴き続けるようになりました。

彼らは私の事なんか勿論知らないけど、私が持つ彼らの音楽に対する信頼は以来揺らがなくなりました。

イギリスにあまり馴染みのない人からしたらなんて事ない曲かもしれませんけど、再結成後のツアーでも終盤でこの曲は必ずセットリストに入ってました。恐らく、彼らにとっても大切な曲なんじゃないかと思います。そうだったらいいな。

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ロックストック2スモーキングバレルズ

前回、トレスポはブリットポップ世代の青春映画の金字塔だ、的な事を言ったような気がするけども、実はわたしの中に金字塔と言える映画がもう1本存在する。表題の作品である。

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この映画、はっきり言って何言ってるか全然判らない。わたしの英語力の問題もあるけれど、困ったことに現地に住むイギリス人も判らないのである。理由は強烈なハックニー訛りだ。それにハックニーにしか判らない用語が連発される。ハックニーとはロンドンの下町言葉で、日本のみなさんはベッカムのハンサムっぷりに心奪われて全く判らなかったかもしれないが、彼もまた強烈なハックニーのアクセントで喋る。初めてインタビューを聞いたときは正直度肝を抜かれたくらいで。

この映画の監督を務めたのはガイ・リッチー。マドンナの元亭主と言った方が早いかもしれない。本当はミドルクラス出身なのに彼は当初ワーキングクラスのフリをしていたらしい。本物のワーキングクラスの人から見たらとても滑稽だったろうな、と思う。逆を言えば当時はそれくらいワーキングクラスの連中がクールだと思われていたのかも。現にサントラには北部のいかにもワーキングクラスのオラオラ系の代表格、ストーンローゼズのFools Goldも入っているくらいだし。

余談だけど、このFools Goldは本当にカッコいい。この曲が流れるシーンを観るだけでも価値があるかもしれないくらいに。

そして今をときめくハリウッドスターのジェイソン・ステイサムのデビュー作でもある。

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そして何と!スティングも主人公の父親役でこっそり出てたり。

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因みにスティングと言えば「さらば青春の光」である。

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これについてはまた後日。

 

このロックストックはキャスト全員いかついかガラが悪いかそのどちらもか(笑)故に間抜けなシーンが際立ってしまう。

もしもトレスポが嫌いじゃないなら、お勧めしたい作品だ。

 

 

トレインスポッティング

言わずとしれたダニーボイル監督のデビュー作品です。

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エディンバラを舞台にユアン・マクレガー演じるレントンとその仲間たちの青春ドラッグムービーです。これの何が凄いって実は中身が大してないこと。ただただロクに働かず、クスリをキメてクラブに駆り出したり、友だちと遊んだり、見えない敵に追いかけられてたり…ただ、クスリやったらこうなるんだな、的なイメージ映画と言えなくもなく(笑)この映画の最大のセールスポイントは個人的にサントラだろうと思っている。ブリットポップ全盛期のバンドのメンバー然り、巨匠ブライアン・イーノの作品もあったりして、その辺の下らんアルバムよりもよっぽど秀逸だと思う。blurのデーモンの初めてのソロ作品も入っているし。

特筆すべきはどうしてoasis、もしくはノエルの楽曲が入っていないか、だろう。ブリットポップ期の横綱(しかし私は個人的にoasisに関してはもうブリットポップのカテゴリから大きく逸脱していた気がしてる)は敢えて参加しなかったのか?真相はちょっと違うらしくて。ダニー・ボイルは当然ノエルにも依頼したそうです。しかし、ノエルは基本的にあまり本を読まないので原作を書いたアーヴィン・ウェルシュの事は勿論、トレインスポッティングってネーミングを聞いて鉄オタの映画だと思ったらしくて、そんなのに曲は提供できねぇよ、とむげに断ったらしいのです。

はーーー…でも、あのサントラにoasisは無用だったな。もう十分な内容だし。Sleeperの底力も見せつけられた。

 

わたしはトレスポのファンであると同時にハリポタのファンでもあるので、いつかスコットランドに行った暁には両方の世界観を味わう事になるだろうし、それを楽しみに今日も労働に勤しむ事にします。

 

 

 

The La's

ラーズは知らなくても"There She Goes"を聞いた事がある人はそこそこ居るんじゃないかと思います。色んなミュージシャンがカバーしてます。

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有名どころだとSixpence None The Richerかな。あの天使のような歌声バージョンを聞いた後にオリジナルを聞くことになった友だちはまぁまぁ驚愕してました(笑)わたしはどちらも好きだけどやっぱりラーズかな。

何故か、これはきっとわたしの高校生の頃の淡い恋も影響してるからかも。当時、ちょっとだけ仲良かった男の子(H君とします)に誘われて行ったのがこのラーズのライブでした。わたしがこのイギリス北部の音楽へと傾倒していったきっかけは間違いなくH君でした。ストーンローゼズをわたしに教えてくれたのも彼でした。

ゼアシーゴーズは本当に良い曲だなって思ったけど、ローゼズの魅力を思い知るには実は少し時間がかかってしまって。レコードを繰り返し修行のように聞いて、ある日突然好きになったのを覚えてます。ホントに突然で、あ!何だこれ凄いかもしれない!と気がついたときには本国イギリスではもうセカンドサマーオブラブは終焉を迎えていたのを知ったのは私が随分と大人になってからでしたけど(笑)

何故聞き続けたかと言うと、当時古着を品良く着こなすおしゃれさんだったH君が勧めてくるんだから、絶対良いんだ、これの良さを判らなかったら私センスないのかも、と言う歪んだ思い込みからでした。

因みにラーズとローゼズは同じ北部のバンドで時代も似ていたのでお互いが少し交錯したことがあったみたいです。

ラーズのライブを見に行ったのが夏だったこともあって、ゼアシーゴーズを聞くと夏によくH君とミスドでお茶してた事を思い出します。彼とは結局お付き合いすることなく、進学先も別々だったのでそれから会うことはありませんでした。

 

この曲、多幸感に溢れてます。

マッドチェスターが開花する直前にリバプールで奇跡的に作られたこの曲はタイムレスで少し物悲しくて、でもビートルズの系譜を組んで何となく穴蔵ソングです。

おすすめの一曲です。